家計簿アプリKakeibonのグッドポイントと課題


家計簿アプリKakeibonのグッドポイントと課題

家計簿アプリケーションというよりアグリゲーションサービスで有名だったように思う。金融機関とのネット連携APIは他社にも提供されていた。当初はパソコンのアプリケーションソフトとして提供されていたが、ブラウザで利用するWEBアプリケーションの形態になり名称もKakeibo(n)のものに変更した。最後のnの扱いが中途半端でネーミングセンスがよく分からない。利用者のIT環境がスマホに移行するのにつれスマホ用アプリの提供も始め、現在はブラウザ版とスマホ版の連携利用として落ち着いている。

家計簿アプリKakeibon



グッドポイント

(アグリゲーションカバレージ)
  1. アグリゲーション機能で自動収集する金融機関関連サイトのカバレージは長年の蓄積の結果だろう極めて広い。銀行、証券会社、クレジットカード会社は当然だが、電子マネー関連、マイレージやポイント関連サイトとの連携、通販(EC)サイト、公共料金サイトなど、ネット社会を改めて認識させられるくらい幅広い。
(資産管理)
  1.  カバレージが広いので必要なデータ収集が簡単にできるので資産管理がやりやすい。 
  2. 資産ごとに情報が整理されているので個々の資産概要が把握しやすい。
(有料会員コスト)
  1. 有料会員になると、データのダウンロードが出来たり保存期間の制約がなくなるが、有料会員のコストが月200円と無視でいるくらい低いレベルで設定している。
 ※

課題

(技術面)
  • タイムアウト/再ログイン
  1. 使っていると直ぐにサーバーとの連携が切れてしまい再ログイン操作が必要になるが、その時には再びワンタイムパスワードの入力とか秘密の質問に答えなければいけない。資産全体を管理しようとすると余計な手間がかかり過ぎて使い物にならない。無料版有料版に関係なく最大の欠陥。他社版ではこのようなことはない。最近のログイン条件を考慮していない古い発想のまま改善を放置している。 
  • UI
  1. 画面設計、画面操作性は現在のブラウザの技術を駆使していないため極めて古い印象。
(セキュリティ面)
  • 機密情報の扱い
  1. 銀行によっては第二暗証番号とか乱数表とか用意しているところもあるが、例えば新生銀行の場合、暗証カードの内容を全て入力してKakeibonのサーバーに保存する必要が有るがこれはセキュリティ上最悪の事態。しかも、その入力時に顧客責任と書いて済ましている。他社の場合は暗証コードを入力しなくてもデータ参照は出来ているのだからKakeibonの対応の不十分さは明らか。セキュリティ事故時の責任転嫁の姿勢も問題だ。
  2. 他社に出来てOCNに出来ない訳はない。無責任に見える。他社は時代性を踏まえ情報漏えいのリスクを考慮した取り組みを徹底しているがKakeibonでは不十分な印象が強い。
  • ワンタイムパスワード
  1. 他のアグリサービスではワンタイムパスワードによる確認は初回だけ。ところがOCNでは毎回入力が求められるので煩雑。金融機関との契約等による簡略化かもしれないが他社に出来てOCNで出来ないのは不思議。怠慢というしかない。
(アグリゲーション)
  1. 野村信託銀行を庇いしていない。最大手の野村証券を使う利用者はセットで野村信託も使うことが多いが、それが抜けているのでは 片手落ち。
(資産管理)
  • 分析サービス
  1. 金融機関のカバレージは広いのにそれを利用したポートフォリオ作成など分析サービスは殆どできていない。データを羅列しているだけ。有料版も無料版と変わらず貧弱な情報サービスのままだ。
  • データの抜け漏れ
  1. ネット連携は追加の操作が求められるために一度に全接続成功とならないことが多い。接続失敗したものはデータが保存されない仕様になっているようで、全部の接続が成功するまでデータが揃わないことになる。接続失敗したサイトだけ再接続できるようになってはいるが、少し画面を離れたり調べ物をしたりすると直ぐにタイムアウトになって最初からやり直す羽目になる。資産データをダウンロードしても常にどこかが漏れている状態になる。
  2. 取引履歴データについては一度確保したデータは保存されているようで、タイムアウトが発生しても最後に確保できたデータは確認できる。しかし、しかし、サイト特性を見て過去情報に入って履歴データとしての網羅性を確保することはない。過去データは抜け漏れになっている。
  • 振替
  1. 振替、資産移動への考慮がない。 
  • インポート/アップロード 
  1. 無料契約、、有料契約とも外部データの取り込みをサポートしていない。連携出来ないサイトもあれば過去データもあるが、いずれにしても何もサポートしていない。ここで家計簿としてあるいは資産管理として完結するとかの発想はゼロらしい。かと言ってダウンロードは有料契約限定らしいから、どこまでも中途半端なコンセプトだ。
(スマホアプリ)
  • レシート読み取り機能
  1. レシート読み取り機能は実際は使い物にならない。バグ以前の問題が多くて個々にピックアップして行ってもしようがない。バージョンアップ計画もないので当面今のまま使うというのは実際上有り得ない。
  2. 他社アプリZaimと連携していてまあまあ上出来のレシレコ機能などを利用できるからスマホアプリでは内容確認だけで十分だったが、近々Zaim連携を中止するらしいのでダメージは大きい。
(結論)
  1. 全体を見るとKakeibonの運営者(OCN)には全くやる気がなさそうだ。このKakeibonを軸に家計簿管理、資産管理などを考えては駄目。予測としては年内にサービス終了になるだろう。もしくは惰性でサービスを提供するだけのもの。やる気ゼロの運営責任意識の希薄なKakeibonを利用を継続すること自体がリスク。
  2. リニューアルが実施されるまで利用は停止した方がよいだろう。有料契約ならデータを確保したうえで解約。遅くとも前半終了の6月末が目途。

30

365

人気の投稿